アルギニンとシトルリンの効果

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アミノ酸の中でも人間にとってとりわけ重要な働きをするアミノ酸は文字通り「スーパーアミノ酸」と呼ばれています。

「スーパーアミノ酸」と呼ばれているものには5成分あり、バリン、ロイシン、イソロイシン、そして今回ご紹介するアルギニンとシトルリンです。

「シトルリン」と「アルギニン」はNO(一酸化窒素)を生み出します。そして、NOには血管を拡張し血流を促進する作用があります。

「人は血管とともに老いる」という言葉があるように、体内の基本である血管を若々しく保つためには、シトルリンやアルギニン力がとても有効です。

そもそもNO(一酸化窒素)とは?

NOは私たちの血管内で日々産生されている物質で、血管をしなやかに拡げる作用があり、それにより身体のすみずみまで酸素や栄養素が運ばれます。

それにより、動脈硬化の緩和やスポーツ時においてパフォーマンスアップ、疲労回復などの効果が報告されています。

また、NOは血管壁に血球やコレステロールが付着し血管が狭くなるの緩和することで動脈硬化を緩やかにすることにも重要なはたらきをしています。

窒素酸化物の一種で、無色、無臭の気体です。

シトルリンとは?

シトルリンは1930年に日本でスイカから発見されたアミノ酸です。
スイカの他、メロン、きゅうり、冬瓜、かぼちゃなどウリ科の植物に多く含まれています。

シトルリンはたんぱく質の構成成分とならずに“単体”で体内に存在し、それぞれのはたらきを発揮している「遊離アミノ酸」の一つです。

遊離アミノ酸とは?

たんぱく質を構成せず、1つ1つバラバラな状態で存在しています。これは、細胞内や血中をめぐって必要な時にすぐはたらけるように準備しています。シトルリンはそんな遊離アミノ酸の1つで、体内をめぐっています。

遊離の状態でしか存在していないアミノ酸としては、シトルリンのほかにも、オルニチンやギャバなどが知られています。

名前の語源

シトルリンという名前は、スイカから発見されたので、スイカのラテン語の「シトルラス・ブルガリス」に由来しています。

シトルリンの作用・効果

・血管拡張作用

シトルリンは体内でアルギニンに変換される際に一酸化窒素(NO)が産生し、このNOによって血管を拡張させる作用があります。

・疲労を軽減し、運動能力を向上させる

シトルリンは血管を拡げる作用によって血流が増え、疲労感の改善や、運動時に持久力を発揮できるなど、パフォーマンスを向上させることが知られています。

・美肌効果

抗酸化作用により、皮膚のコラーゲンを紫外線から保護します。また、角質層にある保湿成分、「天然保湿因子」の成分の1つであり、皮膚を整え健やかに保つことでアンチエイジング効果が期待できます。

・動脈硬化緩和

血管が老いること血管がで厚く硬くなり、動脈硬化が起きると考えられています。シトルリンには血管をしなやかにするはたらきがあり、動脈硬化を緩和するものとして期待されています。

・冷え性の改善

シトルリンは冷え性の原因である血行不良を改善することが報告されています。

・記憶力集中力UP

「集中」や「記憶」などの力をつかさどるのが「脳」です。脳は大量の栄養と酸素を必要としており、血液によってそれらを補給しています。そのため、脳における血流はとても大事です。シトルリンにより脳内の血流が高まることで、これらの力が高まるとされています。

摂取量の目安

シトルリンの1日の摂取目安量は800mg程度とされています。

アルギニンとは?

アルギニンは「非必須アミノ酸ですが体内で作り出せる量は少なく、不足した分を食事で補う必要があるため、「準必須アミノ酸」、「条件付きのアミノ酸」と呼ばれることもあります。

※特に幼児は体内で作り出す量が十分ではないため、食事からアルギニンを摂る必要があります。なので幼児では「必須アミノ酸」に含まれます。

非必須アミノ酸とは?

必須アミノ酸とは異なり、体内で合成が可能なアミノ酸です。たんぱく質を構成しているアミノ酸20種のうち、 11種類が非必須アミノ酸となります。

名前の語源

1886年に白化させたルピナス(豆)の芽から単離された硝酸塩の見た目が光り輝く結晶になるため、ギリシャ語の「銀」を意味する「argyros」と名づけられた。ちなみに銀の元素記号「Ag」もこの単語が由来です。

アルギニンの作用・効果

成長ホルモン分泌

アルギニンには成長ホルモンの分泌を促す効果があり、体内の代謝を高める、筋肉増強を促進するなどの効果があります。

血流を促進する

アルギニンは体内の一酸化窒素(NO)産生を高めることで血流の改善を図り、生活習慣病の予防、心臓疾患のリスクを低減する効果があると考えられています。

疲労軽減

オルニチン回路の活性化により、疲労を軽減させる作用もあると考えられています。テコンドー選手を対象にした実験では、アルギニン・シトルリン(アミノ酸)の摂取により、運動による中枢疲労が減ったと結論付けられました。

脂肪燃焼の促進

アルギニンには脂肪細胞の増加を抑えて、脂肪減少を助けてくれる作用があります。

肥満ラットを対象にした実験では、アルギニンを摂取させたグループの方が脂肪細胞の増加を抑えられました。

豚のエサにアルギニンを混ぜた実験では、脂肪量が11%減りました。

摂取量の目安

アルギニンの1日当たりの適正量は成人で3,000mg~6,000mg、子供は4,000mgと言われています。

※この推奨摂取量に達していなければ、「飲んでいないのと同じ、意味がない」とアルギニン研究で有名なノーベル賞学者、イグナロ博士は明言しています。

アルギニンとシトルリンの違い

類似する効果がある成分であることはわかったのですが、ではアルギニンとシトルリンの違いは何なのでしょうか。

体内での代謝経路

アルギニンを口から摂取した場合、腸管にて約40%が代謝され、残りは肝臓に運ばれます。
それに対し、シトルリンを口から摂取した場合、腸管から吸収されて肝臓には運ばれず、大部分は腎臓に運ばれます。
腎臓に運ばれたシトルリンはそこでアルギニンに変換されて、全身に供給されます。

吸収率

アルギニンは吸収率が悪く、摂取しても6割以上が失われてしまいます。しかし、シトルリンの場合は、摂取したほぼすべてが体内に吸収され、代謝の対象となります。


以上の点で考えるとシトルリンを単体で摂取した方が無駄のないように見えます。

しかし、シトルリンとアルギニンはお互いに反応し合って体内の一酸化窒素濃度を高めます。
体内にシトルリンが増加することにより、アルギニンも増加し、結果お互いに相乗効果を生み出し、血管が拡張し、運動パフォーマンスを向上することができます。

実際に、アルギニンやシトルリンをそれぞれ単体で摂った場合、血中のアルギニン濃度のピークは約2時間後です。
そして、ピーク時でもアルギニン濃度は通常時の3.5倍までしか上昇しません。
しかし、アルギニンとシトルリンを一緒に摂取すると、たった30分で4.5倍まで達します。
つまり、単体でとる場合とアルギニンとシトルリンを一緒に摂取する場合を比較すると、アルギニンとシトルリンを一緒に摂取するほうが、ピークに到達するスピードは4倍速くなり、30分後の血中のアルギニン濃度は2倍になるのです。


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